死後の世界が発見された ――其の二・隼人
次に通信が繋がったのは、薩摩の武士であった。
いつの世の者か、はっきりしなかった。本人が言わぬのである。
研究員は、例によって現代の暮らしを説明しようとした。
隼人どんは、最後まで聞かなかった。
「待て」と彼は遮った。「いま、なんち言うた。考えを、
はい、と研究員は答えた。難しい判断も、計算も、
長い沈黙があった。研究員は、隠居のときのような、
返ってきたのは、雷だった。
「たわけがッ」
記録の音量計が、振り切れている。
「己の頭で考えんで、何が人か。判断を人にくれてやる奴を、
研究員は、いえ、これは効率の問題でして、と弁明を試みた。
「効率」と隼人どんは、舌の上で転がすように繰り返した。「
まあ、そういう側面も、と研究員は言った。
「楽をして、強うなった者を、わしは一人も知らん」
研究員は、現代はもう、強さを競う時代ではないのだと説明した。
隼人どんは、ふん、と鼻を鳴らした。
「ならば訊くが。お前たちのその、穏やかな世とやらは、
研究員は、それも機械が、と言いかけて、口をつぐんだ。
「そうじゃろ」と隼人どんは言った。低い、
「守る力を、ぜんぶ手放した者の穏やかさを、穏やかとは言わん。
研究員は、何も言えなかった。
やがて隼人どんは、少しだけ声を和らげて、こう言った。
「じゃっどん、一つだけ、感心したこつがある」
研究員は、すがるように、何でしょうと尋ねた。きっと、
「お前は、わしにこれだけ叱られて、まだそこに座っちょる。
研究員は、思わず、ありがとうございます、と頭を下げた。
「礼はよか」と隼人どんは言った。「そん代わり、
通信は、隼人どんのほうから切れた。
研究員はその後、板を捨てなかった。
ただ、それから時々、難しい判断を板に任せようとするたびに、
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