ユダヤ人の非金銭的資本 ―ユダヤ人は優秀か―
ユダヤ人優秀論があります。
これは正しいが特殊一般化の詭弁ではないですが罠があります。
ユダヤ人は世俗的な意味では優秀じゃないし成功しない人が分厚くいます。
いくつかの意味方からユダヤ人論を脱構築してみましょう。
・ユダヤ教徒の大まかな分け方
ユダヤ人にもユダヤ教の宗派にもいろいろあります。
大きく分けると正統派、保守派、改革派、世俗派というのに分かれます。
正統派は律法を一言一句正確に守る、ユダヤ教の習慣通りに生きるみたいな立場の宗派です。
改革派は19世紀ごろもうちょっとヨーロッパ近代社会の世俗的な実体に合わせてやっていこうという立場です。
保守派は改革派があまりにユダヤ教の規範から離れているのに批判してもうちょっと宗教よりであろうとする改革派と正統派の折衷みたいなポジションで、ドイツ、そしてドイツからアメリカに渡ったユダヤ人から広まった考え方です。
世俗派はノンポリというかユダヤ教に関心が薄いかなかったりユダヤ教の習慣や儀礼の実践が薄いかなかったりする人たちです。
これらの人々の関係を見てみましょう。
説明は大雑把で厳密、正確さは欠くかもしれませんが分かりやすさや読みやすさを重視して説明します。
最近の傾向としては世俗的ユダヤ人は知りませんが保守派が中途半端とみなされたせいか分かりませんが保守派が薄く先細って正統派と改革派に二極化していく方向が見えるようです。
・周辺化の理論
最初に大雑把な見取り図を書いておきましょう。
正統派ユダヤ人は原理主義です。
原理主義というと日本人はイスラム原理主義とか(あるいはキリスト教原理主義)のイメージがある世代があってちょっと異質な感じを持つ人がいるかもしれません。
異質かもしれませんが理解としては分かりやすいです。
それに悪い意味ではそもそもありません。
啓典宗教は経典・正典が中心にある宗教です。
聖書の一言一句がたがわず同じであることが大切です。
またそれをそのまま実践することが大切です。
そのまま実践するのを妥協なく進めるのが啓典宗教の原理主義です。
日本では例えば無協会派の内村鑑三がそうでしょう。
エホバの証人もそうではないでしょうか。
ユダヤ教の原理主義宗派がユダヤ教正統派です。
ユダヤ教の正典はヘブライ語の聖書とミシュナと呼ばれる文書になります。
これの研究と勉強と実践と解釈をどうするのか議論するのが正統派です。
厳格に聖書の律法を一言一句守ります。
聖書の冒頭のモーセ五書くらいを読んでみると何となく雰囲気が分かると思いますが聖書の律法を一言一句守って社会生活するのは大変です。
日常生活も大変でしょうが同じ正統派の家族や親せきやコミュニティの中であれば生活しやすいでしょう。
ということでユダヤ教徒の正統派は集住する傾向があります。
集住して環境を律法を一言一句守れるように環境を作ったり変えたりします。
イスラエルやニューヨークなどのユダヤ教正統派が多い場所がユダヤ教正統派の生きやすい場所になります。
中世のゲットーはユダヤ人居住地ですが何となくゲットーに押し込められたという文脈で語られがちですが、ユダヤ人が集住した結果ゲットーになったという側面があるかもしれません。
ヨーロッパ成立期のユダヤコミュニティの成立についてオクスフォードの研究があるようです。
ヴァイキングか何かにくっついて移動したユダヤ人が初期のオクスフォードの街の中心で商業などを行っていたようです。
テムズ川の水運交易を研究していた現天皇陛下もこういう研究をしていたかもしれません。
・正統派は律法学者
新約聖書を読んでいるとイエスのライバルのような形でファリサイ人や律法学者という人々が登場します。
これが現代ユダヤ教の源流です。
ラビユダヤ教徒いいます。
ラビはユダヤ教の学者・研究者であり聖職者であり教師を兼ねたような存在です。
ラビユダヤ教ではユダヤ教の研究をすることが律法を守ること並みに大切でした。
学者民族とか言われるゆえんです。
ラビがユダヤ教を勉強するだけでなく、ユダヤ人はみなユダヤ教を勉強します。
ユダヤ教を勉強するということはユダヤ教文書を勉強するということです。
というわけでユダヤ人は書の民とも言われます。
文献解釈はいつの時代でも解釈が割れることがあるので活発に議論が行われるというよりユダヤ人の場合は活発に議論することが重要視されます。
こういう生き方を現在でもそのまま続けているのが正統派です。
・正統派の別の側面
正統派はユダヤ教ではユダヤ教の勉強、研究する生き方がよいこととされるため熱心な正統派程ユダヤ教の勉強に時間を使います。
正統派ユダヤ教の男性は仕事の時間を惜しんで、あるいは仕事しないでユダヤ教を勉強する人がいます。
いるだけでなくそういう人がたくさんいます。
ですから正統派ユダヤ教徒は貧しい人がたくさんいます。
妻子を持っていてもそういう生活をします。
そして正統派の共同体もそういう在り方を受け入れるというより尊敬します。
それを支える奥さんは大変ですがそれが正統派の在り方です。
現代社会ですから奥さんも別にそういう夫や過程を支えない生き方を選ぶ、あるいは途中で離婚して別の稼ぎの良い男性と結婚してもいいのでしょうがまあ正統派のユダヤ教徒の女性はそういう生き方をしてユダヤ教の伝統を守っています。
正統派の起源は今のリトアニア当たりのハレディズムでそのまた起源はいまのウクライナ西部を中心にポーランド東部、ハンガリー当たりのハシディズムです。
この系統は18世紀くらいに起こった宗教運動です。
当時はユダヤ人の中でも異端視されましたが今は正統派と呼ばれています。
他にも正統派的な宗派はあるのかもしれませんが正統派の中の中心がハレディズムです。
中世ポーランド王国はユダヤ人を重用し生き方を尊重したのでユダヤ人がたくさん集まりました。
これがアシュケナージと呼ばれるユダヤ人の元と言えます。
異端が正統になるのはユダヤに限らず世の中色々な馬車や時代で見受けられます。
日本でも浄土真宗の大谷派は皇室と婚姻を結んでいます。
・正統派は頭がよいか
正統派は頭が良いでしょう。
何せ勉強ばかりしています。
ただ勉強ができることと世俗的成功、金銭的成功は別物です。
正統派の勉強はユダヤ教やユダヤ文献の勉強です。
数学、理科、社会などは中心ではありません。
教育されないこともあるし、教育されても大した教育はされないことが多くあります。
イスラエルの建国後はそういう世俗的、ユダヤ教徒以外にとっては異教徒的勉強をしていても後から自分で数学やら理科やらを勉強し世俗的に成功する場合があることが強調される場面もありました。
ただ普通に考えて初等や中等教育でそういう勉強が手薄いのは正統派の共同体の外で職業生活をするのにハンディキャップになりえます。
そもそも正統派の共同体を出て世俗的、異教徒的な職業につかない人もいるでしょうし金もうけを重視しない人もいるでしょう。
現在では普通は正統派どっぷりの人はそんなに我々の言うところの世俗的成功をしない人が多いです。
でも子だくさんなので家族的には恵まれているかもしれません。
ただ経済的に豊かでない場合が多くあります。
正統派の共同体のかなりの割合がユダヤ教の勉強に多くのリソースを費やします。
一芸は板東に通じますのでユダヤ教の勉強で培った頭の良さが世俗的な成功に役立ったり、役立たせたりする場合もあるでしょうが、正統派が大切にするのはそういう世俗的な成功、金銭や社会的な地位や名誉や評判ではありません。
結果的には正統は内部では豊かでない人が多くなります。
「貧乏子だくさん」と言ってもいいかもしれません。
・正統派が外の世界とかかわる時
正統派のユダヤ教徒をルーツに持つユダヤ系の人が何らかの理由で正統派コミュニティの外側の世界とのかかわりを持つ時にその持ち前の頭のよさやメンタリティが世俗の社会での大成功をもたらす場合があります。
これはナポレオンがゲットーを解放したときかもしれませんし、厳格なユダヤ教徒が宗教性を緩めて正統派外との交流を強める場合かもしれません。
また自分から正統派のコミュニティを離れたり、ユダヤ性を緩めて正統派外の社会と交流を持とうとする場合もあります。
正統派を曲げないまま外部の世界と交流を持つ人もいますし、共同体全体の宗教性が薄まっていくときである場合もあるでしょう。
こういう時にユダヤ人が非ユダヤ人社会、俗世間、ユダヤ教内でも緩い宗教性のユダヤ人の間でやユダヤ人と関係ない人の中で大活躍、大成功する場合があります。
例えば19世紀から現在までそういう傾向がみられます。
いわゆる「ノーベル賞の1/3~2/3がユダヤ人」という場合です。
正統派は現在はハレディズムのことをほぼ指しているような感じなっていますがどこの地域のユダヤ社会でもユダヤ教を厳格に守り世俗的成功などを巷の栄華を顧みず熱心にユダヤ教を研究したり教育していたりする人たちはいます。
ただ近代は脱宗教家の時代でもあってユダヤ人もその例外ではありませんでした。
ユダヤ人のスピノザの哲学を嫌って殺そうとした話は有名です。
『屋根の下のバイオリン弾き』という映画がありますがユダヤ人が世俗の波の影響で共同体が緩んでいき、最後はポグロムという旧ロシア帝国圏でのしばしば起こったユダヤ人の殺戮を逃れるために故郷を離れる話です。
初期のユダヤ人の脱ユダヤ化としては音楽家のメンデルスゾーンで知られるユダヤの名門メンデルスゾーン家などが有名です。
19世紀や20世紀の有名なユダヤ人はユダヤ教徒でない場合も多く、ユダヤ系といった方が正確な場合も多いです。
祖父母や両親の代で改宗するばあいもあります。
また家族や共同体ごと世俗化してユダヤ教が薄まっていきユダヤ教徒でなくなってしまう場合もあります。
これはアインシュタインが有名です。
ユダヤ教徒はユダヤ人でしょうが、ユダヤ人という場合にユダヤ教徒であるとは限りません。
またユダヤ教徒を辞任していてもユダヤ教の律法や習慣を守っていない人も大勢います。
ユダヤ教徒、ユダヤ系、ユダヤ人、こういったものはきちんと使い分けなくても普通の日本人には関係ない場合が多いでしょうけれども、ユダヤ人やユダヤ教などを勉強する場合には細かく整理した方が分かりやすい場合も多いです。
・どんな時に「優秀なユダヤ人」が現れるか
周辺化、宗教や共同体の希薄化、共同体が維持できなくなってよその土地に移り住まなくなってしまった場合などは濃いユダヤ人、ユダヤ教をより厳格に守ろうとする人々が世俗化したり宗教性を希釈化させないといけなくなって、正統派的ユダヤコミュニティの外に出てくる、出てこざるを得ない場合があります。
あるいはユダヤ人以外と婚姻を結んで子供を作る場合もあります。
正統的なユダヤ教徒ほど母親がユダヤ人であることを重視します。
母親がユダヤ人でない場合にはいろいろその他の条件をそろえないとユダヤ教徒と認めない宗派もあります。
ライフコース論で有名なエリクソンは母親が非ユダヤ人男性と結婚して母子家庭になりユダヤコミュニティで育って大変な苦労をしました。
その体験が彼が「セルフアイデンティティ(自己同一性)論」を作った要因だと言われています。
そういう人々やその子孫が鍛えぬいた頭の良さをユダヤ教以外の分野に向けた場合ユダヤ人の頭の良さ、メンタリティが強みとして何かの分野で大成功する場合があります。
実例としては「教育学におけるハンガリーの奇跡」と呼ばれる現象があります。
19世紀末から20世紀にかけてのブタベストから天才的なユダヤ人が群がり現れました。
ハンガリーもブタベストもユダヤ人が多い地域です。
ただハンガリーやブタベストが優秀なユダヤ人をずっと輩出し続けたわけではありません。
一次的な現象です。
現在は当時に比べてハンガリーにもブタベストにもユダヤ人は少ないですし宗教色の強いユダヤ人もそこまで目立ちません。
・大きな流れとして
正統派ユダヤ人コミュニティの中ではユダヤ人はユダヤ教に一心不乱です。
正統派ユダヤ人のコミュニティでなくてもユダヤ人コミュニティの中でユダヤ教に厳格な人々がいて彼らはよく学び、結果として頭がよくなります。
しかし別に頭を浴したり世俗的に成功したいからユダヤ教を勉強する人もいるかもしれませんがそういうケースは一旦例外的に考えてもらっていいと思います。
世俗や非ユダヤ的な世界、マジョリティが作る一般的社会に入っていくということはユダヤコミュニティから距離ができていくこと、ユダヤ教性が緩まっていくことと強い相関があります。
そういった段階でユダヤ人は、あるいはユダヤ系の人は主に知的分野で大活躍、大成功をする場合があります。
全員が躁ではありません。
大きく見ればユダヤ人でなくなってしまうユダヤ人の方が多いでしょう。
これは人類の大部分が奴隷の子孫だとか、日本人のほとんどが天皇陛下と遠い親戚で血がつながっているのと同じで単純で簡単な確率計算が分かれば理解できるでしょう。
検定論の有意差と同じ理屈でそうでない確率が極端に低すぎて現実的にはあり得ないという結論になります。
これは進化論と同じです。
ユダヤ人が優秀だから生き残ったわけではなく、生き残ったユダヤ人、環境に適応して生き延びれたユダヤ人だけがユダヤ人というわけです。
世の中にユダヤ人の血を引いた人がいてもユダヤ人でない人がたくさんいるということで進化論を考えるときに間違いやすい点ですし、ハーバード・スペンサーなどの社会進化論的発想や優生学などがちょっとおかしいくつかわれる原因になります。
ユダヤコミュニティから離れ、ユダヤ教性が薄まり、知的能力がユダヤ教以外の分野に向けられたときにその分野ですごい功績を残す場合があります。
でもユダヤコミュニティと離れすぎたりユダヤ教性がなくなるとユダヤ人、ユダヤ系ですらなくなる、というかそういうことがよくわからなくなり非ユダヤ人になります。
・生物学的な視点をちょっとだけ
ユダヤ人は家族制度的に女系です。
母がユダヤ教徒でないと基本はユダヤ教徒にならないのでミトコンドリアDNAが保存されます。
これは遺伝学的な研究結果がエビデンスとなります。
またY染色体もJハプロタイプというのがあってこれはレバント地域やあら日や半島などセム系の土地で多く見られます。
ユダヤ人の優秀さとそれらを結び付けるのはちょっと無理筋です。
ユダヤ人の優秀さを遺伝学と結びつける仮説として近親婚によるインブリード仮説があります。
ユダヤ人は今では知りませんが共同体内で閉鎖的に婚姻関係を結んでいたと思われるためか常染色体劣性遺伝が多いです。
スフィンゴミエリンなどの脂質系に関する代謝の問題でテイサックス病やゴーシュ病やニーマンピック病などが知られています。
ホモ接合体では遺伝疾患を発症しますがヘテロ接合体ではこれが知能に有利に働くという説があります。
人間は脂質で出来ているようなところがあります。
容姿もスタイルも脂質が作るものです。細胞膜も脂質で作られています。神経細胞の樹状突起などを取り巻くグリア細胞などの特性が加わりホモ接合体では知能が高くなるのではないか、という仮説があります。
昔調べた時より詳しいことが分かっているようなので研究はされているのでしょう。
ちなみに統合失調症の起源論として脂質代謝がかかわっているのではないかとかサルが人間に進化するにあたって脂質代謝が関係しているのではないかという説も昔ありましたが今はどうなっているかはわかりません。
生物学も遺伝子のことも爆発的に研究が進んでいるので昔よりいろんなことが分かっているのでしょう。
・ユダヤ人は日本の恩人だから感謝の心を忘れずに
日本の明治以降の発展は基本的に自分たちで成し遂げたところがあります。
第二次世界大戦以降はアメリカのお陰がめちゃめちゃ大きかったですが。
日本は植民地化されるのが嫌だったので二宮尊徳的な自力根性と、どうしてもお金が必要な時には投資ではなく融資だけで何とかしようとしました。
有名な例が日露戦争の時です。
日本と帝政ロシアが戦ってもまずロシアの勝ちです。
実際にも一応日本の勝ちにはなっていますが内容を見るとまあ引き分けと言っていいような辛勝です。
負ける日本にお金を貸してくれるような奇特な人はいないはずでしたがユダヤ人が負けるの覚悟ということは返済されないのを覚悟でお金を貸してくれました。
これはユダヤ人側にも同法がロシアで迫害されているとか他にもいろいろ意図があったのかもしれませんがこれがないとそもそも日本はロシアに負けていたと言っていいでしょう。
日本人はちゃんとお金を返すのが国民性なのでちゃんと返しましたが普通は不良債権となって焦げ付くような外債を引き受けてくれたヤコブシフやそのバックのロスチャイルドやユダヤ系金融資本には足を向けて寝られません。
あの時にお金を貸してもらえなければ日本は最悪滅んでいた可能性もあったでしょう。
受けた恩は忘れないようにしないと徳がうしなわれますし、理屈でなく感謝するのが敬の精神というか大切なことです。
ちなみにその時シフにお金を貸してもらえたのは高橋是清の功績です。
高橋是清は緊縮財政でどん底になっていた大学を出たけれど就職先もなく東北の農民は娘を未売りに出さないといけないような状況の中で経済緩和で立て直しました。
軍部のテロで暗殺されてしまったので道半ばだったかもしれませんが。
緊縮財政とか国民の窮状を顧みず、あるいは気付かず行い続けると国を誤ります。
最終的に大日本帝国は滅亡してしまいましたが日本国は国を誤らないようにしましょう。
結果としてシフの融資は現代日本という資本、あるいは日本を形成する資本の束をつくりました。
資本は資本を生みますがお金に変わると一言されてしまうことが多いです。
資本主義は前近代的なものを解体する、ということです。
地球の環境と自然と伝統と遺跡と資源と全てをお金に換算するのが近代経済学の、資本主義でもマルクス主義でもゴールです。
それらは無限の経済的成長と経済的イノベーションを求めています。
全ての自由エネルギーを使いつくしてエントロピーを最大化するのがすべてをお金と価値と価格にした状態ですが資本の変換は必ずしも可逆ではないですし、多くは不可逆です。
ユダヤ数千年の歴史も日本2600年の神話からの歴史も壊すのは簡単です。
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